ゼルダの伝説BotWのRTAが俺を惹きつけてやまない
※この記事はスプラトゥーンの話題を含みません。
※この記事はゼルダの伝説BotWのネタバレを含みます。
Splathon Advent Calendar 2018 の11日目の記事になります。
まえがき
ゼルダの伝説BotW面白いですね。
「記憶をなくしてもっかいやりたい」なんて声がちらほら聞こえてくる正真正銘のザ・神ゲーです。
僕も発売当時はSplathonの#zeldaチャンネル、#zelda_netabareチャンネルに入り浸り、そしてハイラルに入り浸り、やがて現実との区別がつかなくなり、仕事中にもかかわらず「早く現実(ハイラル)に戻りたい...早く...」と呟きながらポロポロと涙をこぼしていました。
RTAとAny%について
そんなゼルダの伝説BotWの面白さのひとつがとにかく「自由」であるということ。
自由すぎてチュートリアル終了後はストーリーを全無視していきなりラスボスに挑戦することも可能だったりします。
ツール等を使わずに人力でのゲームクリアまでのタイムを競うことをRTA(Real Time Attack)と呼びますが、ゼルダの伝説BotWはとってもRTA向きなゲームだと言えるでしょう。
また一口にRTAと言っても複数のレギュレーションが存在しており、その中でも今回は最も一般的であろうAny%というレギュレーションに注目したいと思います。
これは要するにダンジョンやイベントの進行度、そのルート等を一切考慮しない純粋なクリア時間を競うもので、ゼルダの伝説BotWではオープニングムービーが終わってリンクを操作できるようになった瞬間から魔獣ガノンに最後の光の矢が当たるまでの時間を計測します。
Any%の世界記録
現在の記録は果たしてどれほどなのか、タイムアタックの記録集積サイトのspeedrun.comで確認してみましょう。
※2018/12/11現在。
なんと驚異の31分06秒890...!
いくらなんでも速すぎだし、自分だったらまだイノシシを狩れているかどうかも怪しいです。
RTA対象のゲームによっては「バグを利用して強制的にエンディング見る」といった内容のものもありますが、ゼルダの伝説BotWにおいて今のところそういった類のバグは見つかっていません。
キチンと正攻法でガノンを討伐した上でこのスピードとなっています。
一体どうやったらそんなに速くクリア出来るのか。
実際のRTA動画は以下になります、是非その目で確かめてみてください。
Wolhaiksong19の Any% no amiibo in 31:06.870をwww.twitch.tvから視聴する
ルート&テクニック解説
如何でしたでしょうか。
内容が凄すぎて「俺の知ってるゼルダと違う!」と思われたかもしれません。
ここからは簡単ではありますが攻略のルートとそこで使われてるテクニックを説明したいと思います。
また主なテクニックは開発者が意図していない不具合を利用したバグ技がほとんどでRTA界隈ではグリッチと呼ばれています。
事前準備
戦いはゲーム開始前から始まっています。
Any%のレギュレーション上、道中のムービーやロード時間も計測されてしまうためなるべく削減できる環境を選択する必要があります。
現状では「WiiU版でドイツ語」一択だそうです。
WiiU版の方が本体性能では劣るものの描画内容が少なく、ドイツ生まれのゼルダは短い言葉で簡潔に内容を伝えてくれます。
回生の祠〜
準備が整ったところで本編スタートです。
ゼルダの伝説BotWの象徴的なシーンの一つ、リンクが回生の祠を抜けた瞬間にムービーが始まって広大な大地を映した時にこの世界への期待が胸を膨らましたことをよく覚えています。
しかし前述の通り感動的なムービーなど完全に無意味な為、望遠鏡壁抜け(Scope Clip)なる技を使い祠の側面から出ることで発生を防ぎます。
望遠鏡を使うとわずかにリンクの位置が後ろにずれる挙動を利用しています。
壁抜けの後は始まりの塔の起動イベントすらも無視してワ・モダイの祠に向かいます。
防寒着が必要になる地帯を裸で強引に突破していくのは見ていて非常にハラハラします。
道中では盾サーフィンバグで利用するナベのフタ、ビタロックジャンプに必要な斧・弓矢を拾って(奪って)おきます。
全体を通して移動については口笛ダッシュ(Whistle Sprinting)と呼ばれるグリッチを使用しています。
口笛を吹きながらBボタンを連打することでがんばりゲージを消費せずにダッシュすることができます。
通常のダッシュの方が僅かに速いらしいので状況に応じて使い分けられると良さそうです。
ワ・モダイの祠(ビタロック)〜
祠につきましたが始まりの塔を起動していないので通常の方法では中に入ることができません。
ここでは盾サーフィンバグ(Shield Skew Clip)を使い壁抜けをします。
傾斜のある地面に向かって盾サーフィンするとその状態(Skew)が内部で保存され、再度別の場所で盾サーフィンした時に位置ズレを発生させることが出来るようです。
※Shield Skewは原理が複雑で奥が深いのですがこちらのリンクが詳しいです。
ch.nicovideo.jp
祠の中では鉄のハンマーを拾うのを忘れずに。
ゴール前でさらっと盾サーフィン2段ジャンプ(Shield Jump)をしているのがかっこいいです。
攻略後、次の祠までの移動はビタロックジャンプ(Stasis Launch)を使います。
自分で打ち出した物体に飛び乗って移動するというタオパイパイ的なアレです。
岩や切り倒した木にビタロックを使い攻撃でダメージを溜めてから最後に弓矢で方向を調整するのがコツです。
両手武器だと楽にダメージを溜めることができるので先程拾ったハンマーや斧を活用します。
矢は貴重なので木に刺さったものを回収するのも忘れずに。
トゥミ・ンケの祠(アイスメーカー)〜
祠の中で重要になるのはアイスメーカーで扉を持ち上げた後の2階へのショートカットでしょうか。
アイスメーカーと盾サーフィンジャンプを併用して高さを稼ぐことができます(Cryonis Jump)。
祠クリア後、次のマ・オーヌの祠までは結構な距離があるのですがここで大技が炸裂します。
通称BtB(Bullet-time Bounce)と呼ばれているグリッチです。
盾サーフィン+空中で弓矢を構えた時のスローモーションの状態で敵に衝突することで超スピードで吹っ飛ぶという技です。
紹介しているグリッチの中では比較的最近発見されたものでこれにより大幅なルートの変更、そしてタイムの短縮に繋がったようです。
ただし位置取りや角度がとてもシビアで狙った方向に飛んでいくのは至難の技です。
RTA動画内では投擲モーション・盾でのはじき動作や斧の振りかぶりなど一見無駄な動作を入れていますが、この一連の動作を「セットアップ」と呼び安定して同じ結果が出るように細かく位置を調整しています。
最終的な立ち位置・飛び先が重要であり唯一解は無い為、RTAプレイヤーはそれぞれ独自のセットアップを持っています。
またBtBが成功したとしてもこの時点ではパラセールを持っておらず落下ダメージで即死してしまう為、落下ダメージキャンセル(Fall Damage Cancel)も合わせて使う必要があります。
空中で投擲モーションになりその最中に装備を外すことでダメージをキャンセルできるのですが、これまたタイミングがシビアで「BtB→落下ダメージキャンセル」はこのルートにおいて難関ポイントのひとつだと思われます。
実際同じプレイヤーが別の動画でミスしているのを何度か見ました。
RTA中に死んでしまったり取り返しのつかないミスをしてしまった場合はその時点で終了しオープニングからやり直しとなります。
ですので理論上は速いが高難易度、またはランダム要素が存在するルートは正に修羅の道と言えるでしょう。
今回の動画は成功した部分だけを切り取ったもので、その裏には数え切れない失敗や挫折が隠されています。
マ・オーヌの祠(マグネキャッチ)〜
祠内部では特筆すべきことはありません。
適切にマグネキャッチを使いサクッとクリアしましょう。
次がいよいよ最後の祠です。
ビタロックジャンプを2回使ってジャ・バシフの祠を目指します。
祠周りの水場に「これをマグネキャッチで拾ってビタロックジャンプしてくれ」と言わんばかりの丁度いい鉄板が落ちているので利用します。
ジャ・バシフの祠(リモコンバクダン)〜
リモコンバクダンはロスが無いように、またダメージを食らってしまわないように正確に設置・爆破します。
足元に置きたい場合はジャンプ中にリモコンバクダンを出すことでスムーズに設置できます。
クリア後はパラセールを受け取りに時の神殿跡に向かいます。
正面の壁を壊した先に居るガーディアンは初めての遭遇時にムービーが始まってしまうのですが、先に矢でダメージを与えて敵対モードにしておくことでキャンセル出来るようです。
一番近くに生えている木を使いビタロックジャンプで時の神殿跡の屋根の上まで飛んでいきます。
またこの木にはランダムでツルギカブトが止まっているのですが、ハイラル城到着までに捕まえておく必要があり実質これが最後のチャンスになります。
ツルギカブトを安定して取れる別のルートは存在するもののこちらの方が圧倒的に速いです。
もし居なかった場合、一応は救済の可能性があります。
時の神殿跡〜
ハイラル王からパラセールを受け取り、いよいよハイラル城に向かう準備が整いました。
ここでもBtBの出番がやってきます。
塔の真下に居るボコブリンを利用して一気にハイラル城まで到達することが出来ます。
がんばりゲージ的にギリギリなので足りなそうな時はパラセールを開閉して乗り切りましょう、パラセールを閉じてもBtBのスピードは維持されます。
ちなみにBtBと落下ダメージキャンセルを使って初手でハイラル城に向かえばいいんじゃないの?と思う方も居るかもしれませんが、「パラセールを取得する」という行動がフラグ管理されているようで、その前にはじまりの大地を脱出しようとするとリンクが「アアアァァァァーーーーーーッ!」と叫びながら奈落に落ちていきます。
既に色んな方法が試されているようで期待薄ではありますが、もしもチュートリアルすら無視できる方法が発見されれば大幅なタイムの短縮につながるかもしれません。
ハイラル城〜
いよいよ終盤です。
ここからは派手なアクションは少なくなりますが細かいテクニックや如何に効率よく武器を集めるかなどの知識が要求されます。
また敵と遭遇することも多いので気は抜けません。
木箱の部屋
左の木箱からは矢が、右の木箱からはランダムでフルーツが3,4個出ますがフルーツの箱からツルギバナナが出なければほぼ詰みです(後述)。
さらにツルギカブトが取れていない場合はツルギバナナが2個必要です。
食堂
ここでのミッションは以下になります。
- シャンデリア上の王家の弓をマグネキャッチで拾う
- 暖炉の近衛の槍をマグネキャッチで拾う
- モリブリンから岩砕きを奪う
- チカラ薬(Lv3)を作成する
敵に一定以上のダメージを与えることで持っている武器を落とすのですが、黒モリブリンを正面から殴っても時間がかかる上に武器の耐久値も消費してしまいます。
そこでリモコンバクダンを投げそちらに意識を集中させている間に背後からふいうち(ダメージ8倍)で2回攻撃します。
またふいうちをする場合、口笛ダッシュだと先に敵に見つかってしまう為ここでは投擲モーション・解除をしながらのダッシュ(Throwing Weapon Sprinting)でカチャカチャと移動します。
誤って武器を投げてしまう可能性があるので注意。
モリブリンへの攻撃の合間にはチカラ薬を作成しておきます。
Lv2とLv3ではボスの撃破時間が数十秒変わってくるのでここではLv3の作成が必須条件となります。
薬をLv3にするためには虫と魔物素材を入れた上で薬効値(素材ごとに異なる)が合計で300以上必要となり、はじまりの大地でのツルギカブト(40)と木箱からのツルギバナナ(90)が取れている場合は、食堂内に落ちているもう一つのツルギバナナ(90)とツルギダケ(90)で合わせて300を超えるので問題ありません、魔物素材は同じく食堂内のモルドラジークの背びれを使います。
ツルギカブトは取れなかったけど木箱からツルギバナナが2個出たという場合は食堂内のツルギバナナ・ツルギタケ・岩塩を合わせてチカラ塩焼きキノコLv3を作成することが出来ます(ただし効果時間は短い)。
どちらも達成出来ていないと調理大成功でのLvアップを祈るしかなくそれにも漏れてしまった場合はリセットとなります。
ここ最近のAny%の上位はBtBなどの派手なテクニックを見せつつ裏ではカブトムシ&バナナお祈りゲーになっているのかもしれません。
隠し部屋
リモコンバクダンで壁を壊して近衛の剣を拾います。
訓練所
先程拾った近衛の剣でモリブリンをふいうちして王家の両手剣を奪います。
あとは壁に立てかけられている近衛の弓、木箱内の大量の矢をGETします。
ここから図書室に向かう際にリザルフォスが2匹出ます、奥に居る方は出来るだけ反応しないように引きつけてから角に矢を当てて怯ませます。
図書室
リザルフォスから三叉リザルブーメランを奪った後、鉄箱でのビタロックジャンプで一気に本丸に突撃します。
ボス戦〜
ついにボス戦です。
チカラ薬を使ってガンガン攻撃していきましょう。
今更ですがこちらの装備は裸なのでほとんどの攻撃は一撃でも食らえばアウトです。
カースガノンx4
神獣を一体も開放していないのでここで全てのカースガノンと戦う必要があります。
死闘を繰り広げるというよりは基本的に弓矢で怯ませてから両手剣のタメ攻撃で削るだけですが。
風のカースガノンには近衛の槍を使い、雷のカースガノンは盾を構えたらリザルブーメランで弾きましょう。
終わりに
長々と書いてしまいましたが最後までお付き合いいただきありがとうございました。
自分も最初は何をやっているのかわからずただ眺めていただけでしたが行動の意味がわかるにつれ更に楽しめるようになったと思います。
超人的なテクニックを用いて数多の挑戦の末に運要素をもくぐり抜けた奇跡、それこそがAny%の醍醐味なのかもしれません。
現在一位のWolhaiksongさんですら更に記録を塗り替えようと日々挑戦を続けておりその様子をLive配信しています。
興味のある方は是非ご覧になってください。
ゼルダの伝説BotWのRTAは非常に活発でBtBのようなグリッチや新しいルートが日々発見・研究されています。
いずれ30分を切るような大記録も出てくるのではないかと思うと非常に楽しみでこれからも目が離せないコンテンツです。